第2話 ページ3
「ふっ……んっ」
僕は家に帰ってから、すぐにダンベルを使って筋トレを始めた。筋トレは方法を間違わなければ、必ず効果があるので好きだ。
筋肉を付けているのに、僕は部活に入っていない。体を動かすのが好きなのではなく、自分がレベルアップしていくのが好きなだけなのだ。
三十分ほどして、僕は筋トレを終了した。そして台所へ向かいコップに水道水を入れ、グビグビとガブ飲みする。
いつもは苦い水道水だが、筋トレ終わりの水道水は格別だ。
ふぅっと一息ついた後、次は勉強机に向かう。何もしない時間など無駄でしかない。
僕は高校の教科書とノートを開いた。ノートは僕の綺麗な字がびっしりで、思わず微笑む。
まずは数学から。因数分解の問題を解き始めた。数学の計算は一つしか答がないから謎解きみたいで楽しい。
「わ、懐かしいわね。これいつの写真?」
「Aが幼稚園の時の写真か。何だか幼いな」
母と父がリビングでアルバムを見ているみたいだ。
僕は自分の部屋を持っていないので、リビングとは壁で隔てられていない。だからよく邪魔をされてしまう。
母は、あっ!とかおっ!とか騒いでいて特にうるさい。僕は集中しているのだから黙っていてほしい。僕は眉をひそめて二人の方を見た。
「Aも来いよ。ほら、この写真」
父が少し声を張り上げて僕に言ってきた。
勉強をしているので本当は行きたくないのだが、父の機嫌が悪くなっても困るので立ち上がる。
リビングに行くと、たくさんのアルバムが机に積まれていた。僕は適当に、クマのキャラクターが表紙のアルバムを手に取って、一ページ目を開く。
僕の視界に一枚の写真が入ってきた、その刹那、稲妻のような衝撃が僕の身体を駆け巡る。
「それは小学一年生の時の写真ね」
母が僕に笑いかけた。懐かしい?と聞いてくるが、僕は答えない。それどころではなかった。
写真の中にいる、小学一年生の僕は笑っていた。前歯が抜けたばかりなのに口を大きく開け、目を糸のように細くしている。非常に不恰好だ。
そんな姿に衝撃を感じたのは、僕が、あの僕が心から笑っていたからだろう。
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アリス(プロフ) - 好きぃ…(^q^)というか話の内容が共感しか無い。僕は作り笑いと愛想笑いのプロだからね!(笑) (4月13日 20時) (レス) @page3 id: 36b57db8a9 (このIDを非表示/違反報告)
直♀(プロフ) - お話作るの上手過ぎない!?応援してるね! (4月13日 17時) (レス) @page3 id: cbcc3bbbe5 (このIDを非表示/違反報告)
あるかろいど有機(プロフ) - わぁぁ!どんどん裏人間さんの活動範囲が広がってて超感動してます…1話だけで分かる神小説感!応援してます! (4月6日 20時) (レス) @page2 id: 2f84a9ae4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裏人間 | 作成日時:2024年4月6日 18時