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一話 ページ1

いつもの暴力にびくびくしながら家に帰った。

ボクだけの雨に打たれて俯きながら家に帰った。

おねえちゃんとお喋りするのだけが楽しみで家に帰った。

『お姉ちゃん、お父さんとお母さんはどこに行ったの?』

「うふ。お父さんとお母さんはね、死んだのよ。」

ボクもおねえちゃんも、とっくのとうにヒーローとしての能力は覚醒していた。

その能力で焼かれた肉塊が辺りに転がっている。

これが、お父さんとお母さん?

体が震える。

頬に涙がつたる。

『ひ、ひへ、おねえ、ちゃん。ありがとう、!』

興奮由来のそれらなんて気にせずおねえちゃんには感謝を伝えた。

家の外からウーウー、とヒーローの車の音がする。

ボク達は静電気の舞う家で手を繋いだ。

「こさめ、できますか?」

『うん、もちろん!』

だって、おねえちゃんと一緒だもの。

「突撃ー!!」

数人のヒーローが家に押し入って来た。

可哀想、可哀想、来ない方がいいのに。

「うふ。黙らっしゃいな。」

ざあっと雲が広がり、バチバチと雷の音が鳴る。

「こ、子供!?なんでここに!?」

『…やっぱり大人かぁ。』

「うふふ。貴方ごときがこさめに近づかないでくださいまし。」

おねえちゃんが静かに手を挙げた途端、話しかけて来た一人が雷に打たれた。

お母さんとお父さんとお揃いの醜い肉塊。

何だろう、ボクもできる気がして来た。

『ふふん!汚いオニーサンもオネーサンも死んじゃえ!』

両手をバッと挙げると、静電気が家中にまわる。

挙げた手を勢いよく振り下ろすと、ヒーローが全員一気に焼けて死んだ。

もう、みんな死んじゃったんだ。

『おねえちゃん、ボク夢ができたよ。』

「なぁに?こさめ。」

『ボクね、子供だけの世界を作るんだ。大人達のいない世界を作るの。だから、おねえちゃん、手伝って?』

「…うふ!もちろんですわ!」

肉塊だらけの汚い家で、ボク達はからから笑った。

二話→



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設定タグ:ワナビー・ヒーローズ   
作品ジャンル:アニメ, オリジナル作品
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バニー芳一(プロフ) - 親を手にかける決心をした時のしぐれちゃんを思うと……素敵な作品をありがとうございます、今後も楽しみです (4月16日 19時) (レス) @page1 id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レインコート  | 作成日時:2024年4月14日 9時

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