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逃げる幸せもなくなって ページ1

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「はぁ…」

「にゃ。溜め息」

「幸せ逃げるって言うんでしょ?今日はもういいの」



さっきまで賑やかだった園内はすっかり静まり返っている。13時過ぎ。子どもたちはお昼寝の時間だ。

休憩室に入って来るなり、「コーヒー淹れたげよっか?」って私のマグカップを手に取ったのは同期。



「ありがとー…」



いつも元気100倍!って感じで、明るくってニコニコで、運動神経はあんまり良くないくせに特技はダンスとアクロバットっていうアンバランスさ。
子どもたちから「さくませんせーヒーローみたーい!」って大人気。
落ち込んでる時は某ヒーローがパンを分けるみたいに底無しの元気を分けてくれる大好きな同期。



佐「ほい!佐久間お手製A先生ブレンド〜」

「ふっ そんなメニューあったんですか?」

佐「ありゃ、お客様いつもこちら頼まれてますよね?」

「…そうでしたっけ?」

佐「いやノれよ!そこは!」



にゃははって笑うさっくん。
お礼を言ってマグを受け取るとデスクの上に置かれた某チョコのパイ。



佐「これもあげる〜A先生のお気に入り〜」

「わーんありがとう佐久間先生〜…」



チョコでコーティングされた、間にクリームが挟んであるしっとりめのケーキ。これが昔からほんとに好きで…



「でもよく知ってたね?私のお気に入り」

佐「そりゃあ唯一の同期だし?」



にぱーって目がなくなっちゃうような笑顔を浮かべるさっくんは私なんかより断然可愛い。



「はあぁ…」

佐「あー!また!」

「いいんだってば…
これ以上逃げる幸せなんてないんだから…」

佐「何があったのさー」



今日は朝からとことんツイてない。
まず新年度早々アラームをかけ忘れてプチ寝坊。そのおかげで朝ご飯を食べ損ねた。
占いはそこまで気にするタイプじゃないけどそれにしても最下位っていうのはちょっとショックだし…
只でさえ焦ってたのに定期が切れてていつもより1本遅い電車に乗る羽目に。
なんとかギリギリ間に合って一息ついたところに同棲中の彼から"今日も遅くなる"の連絡。



「一応今日3年記念日なんだよね…」

佐「おぉ…」



お互い仕事が忙しくて生活リズムはバラバラで、朝もまともに顔を合わせなければ夜だって一緒にご飯を食べたのはもう随分前。



佐「思ったより悲惨…」

「ね…」

佐「そりゃ逃げる幸せないって言いたくなんね」



心なしか頭も痛くなってきた気がして3度目のため息をつくと机の上に置いてた携帯が震えた。

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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時

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