譲れない戦い【shk】 ページ7
.
「うう、さむっ」
体を大袈裟にぶるりと震わせ、外出してきたシャークんは私のいるこたつに潜り込もうとしてくる。
ただでさえ小さなこたつだと言うのに、一瞬で密度が倍になった安寧の地で、先住民の私は声を上げた。
『ちょっとシャークん、あっちいってよ』
「ヤダ、俺だって寒い」
深緑色のもっこもこのフリースを羽織っている癖に何を言いやがるんだこの鮫もどきめ。
しかし私にも譲れないものがある。
『先にいたのは私！こたつに入りたいなら貢物でも持ってくるんだな！』
「はァ〜？…何欲しいの？」
『雪○だいふく』
「えー、やだよ。外寒いじゃん」
そんな文句の声と共にまたこたつ内部の密度が高くなる。
シャークんはまあまあ寒がりだ。お友達の方と楽しくスキースノボ旅行に行くぐらいの雪男だが、それと寒さに耐え得るかどうかは別の話なんだとか。
そんな彼と、こたつが付いている故2時間ほど前に電源が落とされたエアコン、そしてこの部屋で唯一の熱源であるこたつ。
勿論場所を譲るのは吝かでは無い。けどちょうどスイーツたべたいなあ、でもこたつから出るのやだなぁ、と考えていた。だから、私の前に現れたこの彼氏殿…いや、まだこたつの魔力に取り憑かれていない人間を、なんとか体良く使おうとしていたのに…
くっ、こうなったら
『じゃあ正々堂々じゃんけんだ！』
私がそう告げると、シャークんは一瞬目を瞬かせたかと思えば、ギザ歯を覗かせ楽しげに笑う。
「負けたヤツが、Aのアイスと俺のポテチを持ってくる。それでいいよな？」
『ほーん、やってやろうじゃないか！』
「言ったな。はい、じゃんけん」
ぽん！
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 251人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅餅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/12Saku111/
作成日時：2023年11月30日 16時
