【WT】まっしろなせかい【短編集】 (ページ15)

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そんなあなたに首ったけ【sm】ページ15

魔法パロ
お久しぶりですﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝネタです()

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「正気？」
『正気だよ！』

友人の心配そうな声をよそ目に、私は丹精込めた薬草をぽいぽいと釜の中へ放り込む。ぐつぐつと音を鳴らす釜を見下ろしてふふふ、と笑えば、「知らないうちに悪魔と契約でもした？」と割と真剣な顔で尋ねられた。

ワスレナ草の葉っぱ1枚、イービルオウルの涙10mg、テラスフラワーの花びら3枚半にルビーマーガレットの根っこを4.5cm

これらの材料で何が出来るか。
超優秀な魔法使い諸君とコアな薬術師ならすぐに分かるだろう

「やめなよA、惚れ薬なんて…」
『や、やだ！こっちは藁にもすがる思いなの！』
「もう………」

私のおばあちゃんはその類稀なる才能で薬術師として名を馳せた有名な魔法使いだ。そんなおばあちゃんの部屋で本を漁っていた際に見つけたレシピブックに載っていたのだ、私の求める、最高の惚れ薬のレシピが！！！

そもそも、私がなぜ惚れ薬を作ろうとしているか。その理由は、とうとう明日に迫ったとある記念日のためである。

元々は人間界で広まっていた文化らしいけど、それを魔法界に誰かが輸入してきたことで始まった【バレンタインデー】。人間界の暦での2月14日、この日は想い人にチョコ菓子をメインとした贈り物を渡す日なのだ。

そしてこのバレンタインデーに告白して、成功した恋人同士は永遠に結ばれるという伝説付き。…まあ所謂告白の場ってこと。

魔法学校もこの時期になるとどことなく校内全体が甘い雰囲気に包まれる。そして大概の生徒達がソワソワと浮き足立つ姿を観察することが出来る。

そんな空気にのまれたわけでは断じてないけど！

私にもちゃっかり想い人はいる。
同じクラスのスマイルという魔法使いは、それはそれは不思議で奇妙な人間だ。

生息地、大図書館。得意魔法、系統外。興味関心、……魔法研究とか？
仏頂面で本の虫かと思えば大講堂で5人くらいの友人らしき人達と楽しそうに会話をしていたりする、まるでキャラが掴めない謎の魔法使いだ。

そんな彼と出会って今年で二年目。1年生の時に薬草学の授業で手助けをした日からずるりずるりと関係は続き、同学年の他の女子生徒よりは彼とよく話すくらいの間柄になっていた。

「大体さ、あんな堅物男子のどこがいいわけ？」
『うっ、うるさいなぁ！私だって、あまりにも勝算がないからこんなことしてるんだってば！』

堅物だ、無愛想だ、奇人だ、なんて呼ばれているけれど…でも、