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暫くして、更なる絶望感が私を襲った。
トイレに、行きたい。
コネシマさんは、遠くもないそこにいる。
彼に言えば、いいのだろうか。
込み上げる羞恥を押さえ込んで、口を開く。
｢コネシマ、さん、あの、と、トイレ、行きたい…です｣
大きな声を出すと、先程のように痛みが走るかもしれなくて、怖々と声を出す。
ぱたん、本を閉じて、檻の目の前でしゃがみこむコネシマさん。
｢どしたA？ん？トイレならそこあるで｣
コネシマさんの指さす方に、たしかにあった。
ペット用の簡易トイレ。
それを認識した瞬間、血の気が失せた。
あそこで、しろというのか。
｢分かるか？トイレはそこ｣
ブンブンと首を振る私に、まるで幼子に言い聞かせるようにコネシマさんが繰り返す。
｢そこやで。行けへんの？｣
｢や、だ、普通の、トイレ、行きたい…｣
ふう、とため息をひとつついたコネシマさんは、先程まで入ってこなかった檻の中に入ってきて、私の目の前にしゃがみ込んだ。
｢ほら、そっち、真っ直ぐ歩くとあるやろ？行ってみ？｣
いやいやと首を振っていても、尿意は待ってくれなくて。
限界を感じ、唇をかみしめて簡易トイレへ跨る。
なるべく、音を立てないように、見せないように、服や姿勢で極力隠した。
開放感、緩やかな水音とともに、脳内が冷静になるのを感じた。
…何故特別な関係でもない異性に排泄を見られなければいけないのだろう。
いやまず特別な関係だとしても排泄なんて見ることないだろう。
羞恥からか、ポロポロと次から次へ溢れる涙が、大きな手で拭われる。
｢ちゃんとできたな。うん。ええ子｣
そのままわしゃわしゃと頭を撫でられ、抱えられるように抱きしめられる。
｢Aはトイレ覚えれてえらいなあ、ええ子ええ子｣
私を褒めながら嬉しそうに笑う、
その笑顔は、まるで神様のようにも見えた。
無情に咲く過剰投与
｢ご飯もちゃんと食べれてえらいな｣
｢わん｣
｢撫でられるの好きやなあ、Aは｣
｢きゃん、きゃん｣
｢こんだけ慣れたら、今度はこの部屋出てみるか｣
｢わん｣
｢部屋んぽってやつやで、うん｣
｢…くぅん…｣
箱にしまって、開けないで/kn→←無情に咲く過剰投与/kn※
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作者名：ビリヤニ | 作成日時：2024年1月18日 19時
