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咳を落ち着かせ、口周りについた液体を拭いながら言葉を出す。
「好きって…？」
「パパとけっこんして、そのあとしょぴくんとけっこんする！」
…子供の発想って、すごいな。
絶対にやるんだ、と意気込んだ無垢な笑顔を向けられて、俺は礼を言うしかなかった。
「そっかぁ、ありがとうな」
「うん！」
彼女の手に乗せられたチョコを受け取る。
「ちゃんとおこづかいで買ってきたの！」
「おー、偉いなぁ」
頭を撫でてやれば嬉しそうに目を細めるAちゃん。
髪の毛細…サラサラだしー…小さいし可愛いなー…。
告白されたといっても、この子は数年もすれば俺の存在すら忘れてしまうやろ。
そう考えるとなんだか切なくなってきた。
つきりと痛む胸を見ないフリした。
「あ、もう帰らなきゃ。ママに“メーワクかけるからナガイはだめ！”って言われたから！」
「そーか」
Aちゃんを玄関まで見送る。
「ばいばーい！」
「じゃあなー」
手を振り、ドアを閉めようとしたところ、彼女は走って俺の元まで駆け寄ってきた。
「あんね、ゆびきり！」
「へ？」
思わず間抜けな声が出てしまった。
何の指切りだろうか。
小指を差し出され、俺も小指を出し、しゃがむ。
「ゆびきりげんまん、けっこんできなかったら、しょぴくんはもうけっこんできない！ゆびきった！」
Aちゃんは合ってるとは言えないリズムで歌う。
結婚できなかったら、俺はもう結婚できない？
…どういうことだ？
再度バイバイして、ドアを閉める。
そして先ほどの歌の意味を考える。
貴方は私以外と結婚できません
君の言葉が本当になるなんて、
今の俺は思いもしない。
人生最大の告白を/rbr VD→←貴方は私以外と結婚できません/syp VD
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作者名：ビリヤニ | 作成日時：2024年1月18日 19時
