短編集【d】【npl】 (ページ17)

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シルク/rbr ページ17

ある日、世界中で、人が動物になってしまう現象が起きた。

私の大好きなロボロも、先日、猫になってしまった。

言葉はわかっているのか、私の話に相槌を打つかのように鳴く姿は可愛らしいけど、

私は、君とちゃんとお話したいよ。

空を飛ぶ虹色のクジラを見つければ、1人ひとつ、願いを叶えてくれるらしい。

そんな噂を聞いて、私はロボロをケージに入れ、自転車を漕いだ。

｢ロボロ！速いって！｣

｢ちゃんと掴まっといてな！A！｣

ロボロと2人乗りをしたあの記憶を支えにしながら、

近くの山や公園、学校。

行ける範囲はすべて行った。

毎日毎日探し回った。

足が棒のようになるまで走り回った。

｢ねえ、ロボロ…クジラ、どこにいるんだろうね｣

｢にゃあ｣

ロボロは私の膝の上に乗り、慰めるように擦り寄った。

そんなロボロを撫れば、ゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らす。

ロボロを膝に乗せたまま地図を広げて、今日行ったところにバツをつける。

近場はほとんどバツで埋まってしまっている。

…明日は少し遠い街まで行ってみようか。