短編集【d】【npl】 (ページ13)

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世界で1番みじめな男/sgr ページ13

Aと付き合いだして、世界が今まで以上に輝いて見えだした。

道に咲いてる花の色が鮮やかに見える。

空にかかる虹も常に俺を祝福してくれてるように感じる。

幸せの絶頂反面、俺は常に心に引っかかりを感じていた。

仕事終わり、ディナーに行こうと誘えば、快い返事が返ってきた。
アイボリーのコートを着こなし、ウキウキとした足取りで電車に乗る。
駅のホームから出れば、改札前には可愛らしい洋服を着た、俺の彼女であるA。

彼女を見る度に、生まれてきてくれたことに感謝する。

｢スマン！待ったか？｣

｢ううん、今来たとこだよ｣

駅から少し歩き、予約をしていた、少し背伸びをしたレストランで食事をとる。
緊張で味も分からないが、ニコニコとした彼女を見れば満足や。

｢〜んでなあ、そんとき友達が｣

面白おかしく話をすれば、口元を抑えながら楽しそうに笑うA。

その笑顔がみたくて、更に俺は口を動かす。

俺がこうやって楽しませて、笑ってくれるなら、

いくらでも巫山戯るよ。

｢こちら、お会計になります｣

ウェイトレスが持ってきた伝票を持ち、立ち上がる。

予想はしていたが、けして安い値段ではなかった。

｢今日は奢るから、安心してや｣

｢す、すぎるくん、さすがに悪いって｣

｢ええの！男見せさせて！｣

時代として、男だとか女だとか言うのは古いかもしれないけど、

カッコつけたかった。

いい所を、見せたいんや。