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数日後、あのお姫様を街で見かけた。
向こうも私に気がついたようで、控えめに笑顔を作りながら手を振ってきた。
｢…こん、にちは｣
｢あ、こんにちはー…この前、シッマが声掛けてた子ぉ…ですよね？｣
すらっとしたスリムな長身にハスキーな声。
私とはかなりかけ離れている。
…こんな子がいいのかな。
前に聞いた彼の好みとも、違うけど。
｢はい…コネシマとは…仲良いんですね？｣
｢おん、結構遊んだりしとりますね｣
私は、この子みたいなお姫様にはなれない。
だから、魔女になる。
毒林檎を白雪姫に渡す、魔女のように
｢私、譲りませんから｣
｢え？｣
ではなく
王子様から選ばれる
お姫様を超える
美しい、強い魔女に、なってやる。
｢私の方が、コネシマのこと、好き、だから｣
｢ちょ、待って…｣
｢絶対に、貴方を超えます！｣
お姫様の目を見ながら言えば、勢いよく肩を掴まれた。
｢あんな！シッマとは仲ええけど！｣
更にお姫様が口を開こうとした瞬間、私とお姫様の間を割くように声が響いた。
｢シャオロン！お前、Aに何しとんねん！？｣
ベリ、と音がしそうな勢いでコネシマがお姫様から私を引き剥がし、肩を抱き寄せる。
｢いや、たまたま会ったから声掛けただけやで｣
｢じゃああんな迫り寄る必要ないやろ｣
｢理由あってんて！｣
｢なんや言うてみい｣
やいのやいのと言い合う様子が、2人の仲の良さを強調しているようで、心がズキズキと痛み出す。
お姫様が私に向き合い、口を開く。
｢俺、シャオロン！コネシマの友達で、正真正銘男やで｣
｢…え？｣
開いた口が塞がらないとはこの事か。
お姫様だと思っていた子が、男の子だったなんて。
先程まで彼…シャオロンさんにしていた発言を思い出し、顔に熱が集まるのがわかった。
｢やから、応援するで。Aサン｣
ニッと笑うシャオロンさんと、話が理解出来ていないコネシマに挟まれ、もうどうしたらいいか分からない私は
またアスファルトを蹴りその場を立ち去った。
ヒロインになりたかった
｢なんやアイツ、便所か？｣
｢いや…分からへんならええわ…｣
｢…？…あ、シャオロン相手でも、アイツは譲らんからな。1番近くにおるのは俺やから｣
｢…何で俺2人から宣戦布告受けとんの…？｣
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作者名：ビリヤニ | 作成日時：2024年1月18日 19時
